狸谷山不動院は、和銅6年(713年)に元明天皇の勅願によって創建されたと伝わる。その後、延暦年間(782〜806年)に桓武天皇の命を受けた伝教大師最澄が巡錫した際、霊地として重視されたとされる。中世には修験道の聖地として山伏たちの修行の場となり、狸谷の深山幽谷の地形が霊場としての性格を強めた。近世に入ると真言宗山階派の寺院として組織的な信仰体制が整えられ、不動明王信仰を中心に近郷の人々の崇敬を集めた。昭和期には交通手段の普及とともに交通安全祈願の霊場として広く知られるようになり、全国から参拝者が訪れるようになった。現在も毎年7月28日の火渡り神事をはじめとする修験道行事が継承され、山岳信仰と不…