城岸寺は大阪府堺市美原区大饗に所在する融通念佛宗の寺院である。融通念佛宗は平安時代末期、大原の聖・良忍上人(1072〜1132年)が1117年(永久5年)に阿弥陀仏から「一人の念仏が万人に融通し、万人の念仏が一人に融通する」との啓示を受けたことを機縁として開宗した、日本発祥の宗派である。大饗(おおあえ)の地は古来、河内国錦部郡に属した農村集落で、農民が集まって念仏を称え合う「念仏講」を結成し、その道場として城岸寺が成立したと考えられる。中世の農村社会においては念仏講が冠婚葬祭や農繁期の相互扶助を担う結社として機能しており、寺院はその核となった。江戸時代には融通念佛宗の末寺として体制が整い、地域…