多寶院は台東区谷中に位置する真言宗豊山派の寺院である。「多寶」は多宝如来(プラブータラトナ)を指し、法華経に登場する過去仏として知られる尊格で、多宝塔の建立を通じて信仰された。谷中は江戸時代から「寺の町」として知られ、現在も100を超える寺院が集中する東京有数の寺町である。谷根千(谷中・根津・千駄木)の一角をなす谷中は、戦災を免れた歴史的な街並みが保存され、今日では散策スポットとして多くの観光客が訪れる。多寶院は谷中の墓地・寺院群の中に佇み、江戸から続く旧家の菩提を弔い続けてきた。真言宗豊山派は奈良の長谷寺を総本山とし、関東から東北にかけて多くの末寺を持つ宗派として知られる。