大慈院は、天文年間(1532〜1555年)に大徳寺第117世住持・天叟宗忞(てんそうそうみん)を開山として創建された大徳寺の塔頭寺院である。大徳寺は臨済宗大徳寺派の大本山であり、室町時代以降、多くの塔頭が境内に形成された。大慈院もその一院として、禅の修行道場としての性格を持ちながら、境内に静寂な苔庭を整えてきたとされる。近世を通じて大徳寺諸塔頭と同様に禅宗寺院としての伝統を継承した。近代以降、境内において精進料理を提供する文化が定着し、現在は「大慈院の泉仙」として知られる精進料理が、托鉢の鉢を模した鉄鉢(てっぱつ)の器で供される形式が確立された。大徳寺境内で精進料理を提供する唯一の塔頭として、…