蛸薬師堂は正式名を永福寺といい、新京極通に面した浄土宗の寺院で「蛸薬師さん」の愛称で親しまれている。病気平癒の薬師如来を本尊とし、特に「目の病」に霊験があるとされ、江戸時代から大勢の参拝者が訪れてきた。蛸薬師という名前の由来は、孝行息子が病気の母のために禁を犯してタコを買い求めたが、薬師如来の御加護によって難を逃れたという伝説に基づく。新京極商店街のただ中に位置しており、買い物客が気軽に立ち寄れる都市型の祈願寺として機能している。境内には「なで薬師」の石仏があり、患部と同じ箇所を撫でると病が癒えるという信仰が根付いている。観光客と地元信者が入り交じる活気ある境内が新京極の下町風情を象徴している。
蛸薬師堂(永福寺)は、寿永年間(1181年頃)に創建されたと伝わる。開基については仏師・定勝が薬師如来を刻んで堂を建てたとの説があり、当初は現在地とは異なる場所に位置していたとされる。寺名「蛸薬師」の由来となった孝行息子の伝説は中世に成立したと考えられており、病気平癒、とりわけ眼病に霊験あらたかな薬師如来への信仰が広く浸透していった。天正年間(1573〜1592年)、豊臣秀吉による京都改造に伴い、新京極通の整備が進む中で現在地に移転したとされる。江戸時代には新京極が門前町・盛り場として発展し、蛸薬師堂にも庶民を中心に多くの参拝者が集まるようになった。明治以降も浄土宗寺院として法灯を継承し、境内…