要傳寺は台東区根岸3丁目に所在する日蓮宗寺院である。根岸は江戸時代から文人墨客が好んで居を構えた静かな高台の町であり、幕末から明治にかけては俳人・正岡子規(1867〜1902)が「根岸の里」と詠んだ地として広く知られる。この文化的素地の中に根付いた要傳寺は、地域の人々の信仰の場として江戸期以降の歴史を刻んできた。日蓮宗の「南無妙法蓮華経」の題目を柱に、近隣の職人や商人たちの菩提を弔い、現代に至るまで根岸の下町文化とともに歩んできた。正岡子規記念球場や子規庵が近くにあり、文学散歩の途上に立ち寄る参拝者も多い。