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「和をもって貴しとなす」——冠位十二階と十七条憲法
推古天皇の時代、聖徳太子は603年に「冠位十二階」、604年に「十七条憲法」を制定した。家柄でなく能力で人材を登用する仕組みと、「和をもって貴しとなす」で始まる役人の心得。古代日本に「国家」という枠組みをもたらしたこれらの制度を、分かりやすく解説する。
深く読み解く一冊
目次
MOKUJI
一
冠位十二階——能力主義の始まり
›
二
十七条憲法——役人の心得
›
三
なぜこれらが重要なのか
›
四
ゆかりの地を訪ねよう
›
五
よくある質問
›
法隆寺金堂——聖徳太子が冠位十二階・十七条憲法を定めた飛鳥時代を代表する世界最古の木造建築
Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
「和を大切にしなさい」——日本人がよく口にする「和の精神」。その源流の一つが、約1400年前の法律にあります。
聖徳太子が定めた「
十七条憲法(じゅうしちじょうけんぽう)
」です。
冠位十二階——能力主義の始まり
聖徳太子が603年に定めたのが「
冠位十二階(かんいじゅうにかい)
」です。
これは役人を12の位(ランク)に分け、位ごとに冠の色を変える制度でした。重要なのは、その位が「家柄」ではなく「個人の能力・功績」で決まったことです。
それまでの日本は、有力な豪族の家に生まれた者が自動的に高い地位につく社会でした。しかし冠位十二階は「能力のある者を登用する」という、当時としては画期的な考え方を導入しました。現代の「実力主義」の原型とも言えます。
飛鳥時代の誕生仏——十七条憲法は仏教・儒教の精神に基づいた。仏教が国家理念の基軸となった時代の仏教美術
Wikimedia Commons / Public Domain
十七条憲法——役人の心得
翌604年、聖徳太子は「
十七条憲法
」を定めました。
これは現代の「憲法」(国の最高法規)とは少し違い、「役人はこうあるべき」という心得・道徳を17の条文にまとめたものです。
第一条が特に有名です。
「
一に曰く、和をもって貴しとなし、忤(さから)うことなきを宗とせよ
」
「何よりも人々の和(調和)を大切にし、争わないことを根本としなさい」という意味です。仏教・儒教の精神に基づき、役人が協調して国を治めることを説きました。
四天王寺(大阪)——聖徳太子建立の寺院。「和をもって貴しとなす」の理想を掲げた太子信仰の中心地
Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
なぜこれらが重要なのか
冠位十二階と十七条憲法は、日本に「国家」という枠組みをもたらした画期的な制度でした。
それまでバラバラだった豪族たちを、「天皇を中心とする一つの国の役人」としてまとめる——その第一歩がこの二つの制度でした。
これらは後の「大化の改新」(645年)や「律令制度」(8世紀)へとつながり、日本が中央集権国家として発展する礎となりました。
「和をもって貴しとなす」の精神は、現代日本人の価値観にも深く根付いています。
ゆかりの地を訪ねよう
法隆寺
(奈良県斑鳩町)は聖徳太子ゆかりの世界遺産で、太子の理想と飛鳥文化を今に伝えます。
四天王寺
(大阪市)も聖徳太子建立の寺院で、太子信仰の中心地です。
推古天皇のゆかりの地一覧
でほかのスポットも確認してください。
よくある質問
十七条憲法は本当に聖徳太子が作ったの?
伝統的には聖徳太子の作とされますが、近年は「後世に成立した可能性がある」という説も研究者の間で議論されています。ただし飛鳥時代に国家体制の整備が進んだことは史実です。
「和をもって貴しとなす」は今も使われる?
はい。「和の精神」「和を尊ぶ」という形で、現代日本でも組織の協調性や調和を重んじる価値観として広く使われています。日本文化を語る上で欠かせない言葉です。
最終更新日:2026年6月3日
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