伊弉諾命と伊弉冉命はどちらが先に生まれたのですか?
厳密には「生まれた」ではなく、高天原(たかまがはら)の神々から「次に生まれた神(次に顕れた神格)」として古事記に描かれています。二柱は夫婦として登場し、どちらが先という説明は古事記には明記されていません。天地開闢の過程でともに顕現した対の神として理解するのが適切です。
伊弉冉命は伊弉諾命とともに多賀大社(滋賀)に祀られているほか、伊弉冉神社などに単独の主祭神として鎮座しています。また、花の窟(はなのいわや:三重県熊野市)は伊弉冉命の埋葬地とも伝わる古社で、日本最古の神社の一つとも称されます。
「禊(みそぎ)」と「祓い(はらい)」はどう違うのですか?
禊は水に身を浸して穢れを清める個人的な行為で、伊弉諾命が黄泉帰還後に行ったことが神話的起源です。祓いは神職が言葉(祓詞・はらいことば)や道具(大麻・おおぬさ)を用いて穢れや罪を取り除く儀礼で、集団や空間に対しても行われます。現在の神社参拝における「大祓(おおはらえ)」は6月・12月の末日に全国の神社で行われる集団の祓い神事です。
なぜ伊弉諾命・伊弉冉命を祀る神社が長寿・縁結びの御利益で知られるのですか?
国産み神話において、伊弉諾命と伊弉冉命は「共に新しい命を生み出す」夫婦神として描かれています。この「命を生み出す力」「二柱が寄り添い世界を産む」という神格が、縁結び・子授け・夫婦和合の信仰と結びつきました。また、黄泉から戻って長く現世に留まった伊弉諾命の神話が、長命・延命の御利益信仰の根拠となっています。「長寿は黄泉の穢れを祓い切った清浄さの証」という祈りが込められています。
淡路島を訪れたとき、伊弉諾神宮以外にも神話ゆかりの場所はありますか?
はい。淡路島には伊弉諾神宮のほか、沼島(ぬしま)が「おのごろ島(天沼矛で搔き混ぜて生まれた最初の島)」の有力候補地として挙げられています。また、島内には古代の祭祀遺跡や、古事記に登場する地名が残る集落が点在しており、「神話の島」としての景観が今も息づいています。静寂に身を置くと、古代の人々が神話をこの地で体感していたことが実感できます。