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お盆の意味と迎え火・精霊流し——先祖を迎える7月・8月の仏教行事
お盆は先祖の霊が帰ってくる7月または8月の仏教行事で、迎え火・送り火・盆踊り・精霊流しが行われる。旧暦盆(7月)・新暦盆(8月)の地域差と、浅草寺・総持寺・永平寺・東大寺・増上寺の盆行事を解説する。
目次
MOKUJI
お盆の起源——仏教の「盂蘭盆経」から日本独自の行事へ
お盆の行事——迎え火・盆棚・盆踊り・送り火
精霊流し(しょうりょうながし)——先祖を送り出す行事
全国のお盆行事と参拝スポット
お盆の参拝作法と暮らし——現代のお盆の迎え方
よくある質問
お盆(盂蘭盆会)は毎年7月または8月に行われる仏教行事で、先祖の霊がこの世に帰ってくる期間とされ、家族が集まって先祖を迎え、供養し、送り出す一連の行事が行われる。現代日本では「お盆休み」として多くの企業が休暇を取り、帰省ラッシュが起きる年中最大の帰省シーズンでもある。
京都・五山送り火「大文字」。如意ヶ岳(大文字山)の斜面に浮かぶ「大」の字は、8月16日夜に点火され、先祖の霊をあの世へ送り返す送り火として今も多くの人々が見守る。
Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 / photo by Cookie4869
お盆の起源——仏教の「盂蘭盆経」から日本独自の行事へ
お盆の起源は仏教の経典**「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」**にある。お釈迦様の弟子・目連(もくれん)が、亡くなった母が地獄(餓鬼道)で逆さ吊りにされて苦しんでいるのを神通力で見、お釈迦様の教えに従い僧侶に供養(布施)をすることで母を救ったという伝説が起源だ。
「盂蘭盆(うらぼん)」はサンスクリット語「ウランバナ(ullambana)」を音訳したもので「逆さ吊り」を意味するという説があるが、異論もある。
旧暦盆(7月)と新暦盆(8月)——なぜ地域によって時期が違うか?
時期
地域
特徴
7月盆(旧盆・東京盆)
東京・神奈川・静岡・仙台など
明治の改暦後も旧暦通りの7月15日を維持
8月盆(月遅れ盆)
北海道・東北・中部・関西・九州など
農繁期を避けるため1か月遅れにした
旧暦盆
沖縄・奄美大島など
旧暦(太陰暦)に従い、年によって時期が変わる
一般的なお盆の期間は**8月13日(迎え盆)〜8月16日(送り盆)**の4日間が多い。
精霊棚に供えられた精霊馬。キュウリ(馬・足が速い=早く帰ってきてほしい)とナス(牛・ゆっくり歩く=帰りはゆっくりでよい)に爪楊枝で足を作り、先祖の霊への思いを形にした日本独自の盆の習俗。
Wikimedia Commons / CC BY 3.0 / photo by Katorisi
お盆の行事——迎え火・盆棚・盆踊り・送り火
迎え火(むかえび)はなぜ焚くのか?
迎え火はお盆の初日(8月13日)に玄関や庭で焚く火で、先祖の霊がこの世への道に迷わないよう、家への道案内をするという意味がある。オガラ(麻の茎)を焚くのが伝統的な方法で、その煙が霊の通り道とされる。
盆棚(精霊棚)の設え方
**盆棚(ぼんだな)**は先祖の霊を迎えるための特別な祭壇で、仏壇の前に設置する。盆棚には以下を飾る:
飾り
意味
位牌
先祖の魂の依り代
精霊馬(なす・きゅうり)
先祖の霊が乗る乗り物。きゅうりは「馬(速く来るように)」、なすは「牛(ゆっくり帰るように)」
水・果物・野菜
先祖へのお供え
提灯
霊の道標
盆踊り(ぼんおどり)の意味
盆踊りは先祖の霊を慰め、楽しませるために踊る行事で、全国の夏祭りの中心をなす。8月に各地の神社・寺院・公民館などで行われ、「阿波踊り」(徳島)・「よさこい」(高知)・「ねぶた」(青森)など地域ごとに特色ある形式が伝わる。
徳島・阿波踊り(2008年)。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん」の囃子とともに、鳴り物と踊り手の熱気が真夏の夜を包む。日本最大規模の盆踊りとして全国から百万人を超える観客を集める。
Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0 / photo by Rosino
精霊流し(しょうりょうながし)——先祖を送り出す行事
精霊流しとはどんな行事か?
**精霊流し(しょうりょうながし)**はお盆最終日(8月16日)に先祖の霊を送り出すために、精霊船(しょうりょうぶね)——藁や木で作った小舟に先祖への供え物や位牌の写しなどを乗せたもの——を川・海・池に流す行事だ。長崎市の「精霊流し」は爆竹の音と華やかな精霊船で全国的に有名で、8月15日の夜に行われる。
送り火(おくりび)と大文字焼き
送り火は迎え火と対をなす行事で、お盆最終日に焚いて先祖の霊があの世へ帰る道を照らす。京都の五山送り火(ごさんおくりび)(8月16日)は特に有名で、東山・妙法山などの五つの山に「大(だい)」「妙(みょう)」「法(ほう)」「船(ふね)」「鳥居(とりい)」の字・形が松明(かがりび)で浮かびあがる。
岐阜・郡上踊り(2009年8月16日)。7月から9月にかけて約30夜にわたって続く日本最長の盆踊りで、2022年にユネスコ無形文化遺産に登録。踊り手と観客の垣根がなく、誰でも輪に加わることができる。
Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0 / photo by tsuda
全国のお盆行事と参拝スポット
浅草寺——東京の盆行事
浅草寺(東京・台東区)では7月のお盆に「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の法要が行われ、境内では盆踊りや先祖供養の行事が催される。下町の浅草では7月盆(旧暦盆)の伝統が東京の中でも特に色濃く残っている。
総持寺——曹洞宗の盆行事
総持寺(鶴見総持寺)(神奈川・鶴見)は曹洞宗の大本山で、お盆には大々的な施餓鬼法要(せがきほうよう)が行われる。施餓鬼とは餓鬼道(飢えに苦しむ亡者の世界)の霊を供養する行事で、先祖の霊とともに縁のある全ての霊を供養する意味がある。
永平寺——禅の盆行事
永平寺(福井・永平寺町)は曹洞宗の大本山・道元禅師が1244年に開いた禅の聖地で、お盆には精緻な禅の作法に則った盆行事が行われる。永平寺での参篭修行(さんろうしゅぎょう)体験と合わせて訪れる参拝者も多い。
東大寺——大仏のお盆
東大寺(奈良市)では8月のお盆に「万燈供養会(まんとうくようえ)」が行われ、境内に無数の燈籠が灯される。大仏(盧舎那仏)の前で先祖の霊を供養する行事は、奈良時代から続く古い伝統だ。
増上寺——徳川家の盆行事
増上寺(東京・港区)は徳川将軍家の菩提寺として、歴代将軍の霊廟がある格式ある寺院だ。お盆の時期には施餓鬼法要や先祖供養の法要が行われ、東京タワーを背景にした提灯点灯の光景が人気だ。
東大寺・万灯供養会(8月15日)。大仏殿前に並べられた無数の灯籠が境内を幽玄な光に包む。奈良時代・聖武天皇が創建した大仏の前で1,300年受け継がれてきた盂蘭盆の祈りは、夏の奈良を代表する夜景のひとつ。
Wikimedia Commons / CC BY 3.0 / photo by akyuna
お盆の参拝作法と暮らし——現代のお盆の迎え方
新盆(にいぼん)とは何か?
**新盆(にいぼん)**は故人が亡くなって初めて迎えるお盆のことで、通常のお盆よりも丁寧に供養する慣習がある。白提灯(しろぼんじん)を飾り、親族・知人を招いて法要・会食を行う家庭が多い。
お盆の飾り
時期
迎え火を焚く
8月13日夕方(7月盆は7月13日)
盆棚を設ける
8月13日〜16日(7月盆は7月13〜16日)
送り火を焚く
8月16日夕方(7月盆は7月16日)
盆棚を片付ける
8月17日以降
よくある質問
お盆はなぜ7月と8月の二つがあるのですか?
明治維新後の改暦(グレゴリオ暦への移行)に際し、東京などは旧暦の7月15日をそのまま新暦の7月15日として実施した。一方、農業地帯などでは農繁期の7月を避け、1か月ずらした8月15日を中心に行うようになった。現在も地域によって7月盆・8月盆・旧暦盆に分かれている。
きゅうりとなすでなぜ「馬」と「牛」を作るのですか?
きゅうりは「馬(うま)=速い乗り物」として先祖が早く来られるように、なすは「牛(うし)=のんびりした乗り物」として先祖がゆっくり帰るようにという意味がある。四本の足は割り箸などを刺して表現する。
お盆中に旅行・海外旅行をしてもよいですか?
現代では特に制限はない。ただし伝統的には「お盆期間中は先祖の霊が帰ってきているため、遠出を控えるべき」という考え方もある。先祖の霊を自宅で供養することを大切にするならば、期間中は自宅に戻ることが望ましい。
五山送り火(大文字焼き)はどこで見るのが最もよいですか?
京都の五山送り火は市内の各所から見えるが、全五山を一度に見られる場所は限られる。鴨川の河川敷・賀茂川沿い・大文字山の見える丘などが人気の観覧場所。8月16日20時〜20時15分ごろに順次点火される。
お盆の間にお墓参りをする最適なタイミングはいつですか?
迎え盆(8月13日)の前日または当日にお墓参りをして先祖の霊を迎え、送り盆(8月16日)前後に再び訪問するのが丁寧な作法とされる。一般的には13日のお墓参りが最も重要視される。
最終更新: 2026年4月25日
── 了 ──
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