禅寺の伽藍は建物だけでなく、庭園もまた思想的な意味を持ちます。東福寺の方丈庭園は近代の庭師・重森三玲(しげもりみれい)による昭和の作庭ですが、禅の枯山水(かれさんすい)という様式を高度に体現しています。
枯山水とは、水を使わずに砂と石だけで山水(山と川・海)を表現する日本庭園の形式です。白砂の「波紋」は水の流れを、石は山・島・仏を象徴します。静止した砂と石の中に宇宙の理を見出すという禅的洞察が、凝縮された形で庭に現れています。
南禅寺の境内には明治時代に建設された煉瓦造の**水路閣(すいろかく)**があります。琵琶湖疏水を通すための実用的なアーチ橋ですが、その古代ローマのアクアダクトを思わせるたたずまいは、古い禅寺の境内に不思議な調和をもたらしています。この境内の多様性もまた、「禅」が歴史の中でさまざまな文化と接触しながら変容してきたことを示しています。
北野天満宮は禅宗寺院ではありませんが、五山文化の成熟した京都において神社と禅寺が同一の都市空間を共有し、相互に影響を与え合っていたことを示す存在です。