大原は平安時代から天台宗の修行の地として知られ、伝教大師最澄が比叡山に延暦寺を創建して以来、深山の霊地として多くの僧が隠棲した。慈覚大師円仁(794〜864年)が大原に念仏の霊場を開いてからは、大原は天台浄土教の聖地として発展し、三千院の源流もその流れに連なる。円珠院は三千院の子院のひとつとして、この歴史的背景の中に位置づけられる寺院である。創建の詳細な年代は記録に明確でないが、院号を持つ子院として平安末期から鎌倉時代頃に整えられたとみられる。大原の清閑な山里の環境は都の煩雑さを離れた隠棲・修行の場として格好の地であり、寂光院など他の古刹とともに大原の信仰空間を形成してきた。中世以降は三千院門…