来迎院は834年(承和元年)、慈覚大師円仁によって天台声明(仏教音楽)の道場として開かれたと伝わる。大原の地は古くより「魚山」と称され、天台声明修行の聖地として位置づけられてきた。平安時代後期には良忍上人(1072〜1132)がこの地で修行し、のちに融通念仏宗を開宗したと伝えられる。中世には勝林院・実光院とともに魚山大原寺を形成する僧坊のひとつとして機能し、天台声明の伝承に重要な役割を果たした。本堂に安置される薬師如来・釈迦如来・阿弥陀如来の三尊像はいずれも平安時代の作とされ、国の重要文化財に指定されている。近世以降も天台宗の寺院として法灯を継ぎ、明治期の神仏分離令による影響を受けながらも法脈…