851年(仁寿元年)、円仁(慈覚大師)によって創建されたと伝わる天台宗の寺院である。円仁は比叡山延暦寺を拠点に天台教学を広めた高僧であり、大原の地にも声明修行の場を設けたとされる。12世紀初頭、融通念仏宗の祖として知られる良忍上人(1072〜1132年)が来迎院を拠点として天台声明の研鑽を積み、大原流声明を大成したと伝わる。これにより来迎院は声明発祥の地として天台宗内に重要な位置を占めるようになった。境内を流れる呂川・律川の名称は声明の音律(呂・律)に由来するとされ、「大原」の地名の起源とも関連づけられる。中世以降は戦乱や火災による衰退と再建を繰り返したとされるが、詳細な記録は限られる。現存す…