江戸時代初期の創建と伝わる墨田区両国の小社。かつてこの一帯は武士の馬術稽古場「榛馬場(はんのきばば)」であり、その傍らに祀られた稲荷社が起源とされる。「榛(はんのき)」はハンノキの木が生い茂っていたことに由来し、江戸の武家文化と自然環境を今に伝える地名の記憶でもある。この界隈は江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎が生涯で93回も引越しを繰り返した本所地区に位置し、北斎が一時期この付近に居住していたとの伝承がある。神社のすぐ近くにはすみだ北斎美術館(2016年開館)が建ち、北斎の画業を世界に発信する文化拠点となっている。小さな境内ながら赤い鳥居と狐の石像が江戸情緒を漂わせ、両国の下町散策で立ち寄りたい隠れた名所。馬術稽古場跡の石碑も残り、武家の馬術文化を偲ばせる。JR両国駅から徒歩8分。