直指庵は正保3年(1646年)、禅僧・独照性円が嵯峨野の地に草庵を結んだことを起源とする。その後、浄土宗の尼寺として再興・整備され、本尊に阿弥陀如来を祀る現在の形が整えられたとされる。近世には嵯峨野の奥深くに位置する静謐な修行の場として歩みを続けた。近代以降、作家・僧侶として知られる瀬戸内寂聴がこの地で法話を行ったことにより、文学と仏教が交差する場として広く認知されるようになった。また、参拝者が思いを自由に記す「想い出草ノート」が本堂に置かれる慣習が生まれ、現在までに約5000冊に及ぶノートが積み重なり、時代を超えた人々の祈りと心情の記録として受け継がれている。竹林に囲まれた幽玄な境内は今日も…