熊野若王子神社は永暦元年(1160年)、後白河法皇が紀伊国熊野の熊野権現を勧請し、禅林寺(永観堂)の鎮守神として創建したと伝わる。京都に勧請された三熊野(新熊野・熊野若王子・熊野速玉)の一つとして、平安末期から修験道・熊野信仰の拠点となり、熊野詣に向かう修験者たちが出発前に身を清める聖地として崇敬を集めた。中世には禅林寺との密接な関係のもと社勢を保ち、社頭には熊野信仰のシンボルであるナギの木が植えられたと伝えられる。近世には禅林寺の鎮守としての位置づけが継続され、周辺の門前集落とともに信仰圏を維持した。明治初期の神仏分離令により禅林寺から独立した神社として改めて位置づけられ、現在に至る。哲学の…