和銅4年(711年)、稲荷神の御鎮座1300年の歴史を持つと伝わる古社である。社名「水稲荷」は、境内より湧き出る清水・霊泉に由来するとされ、古くから水の神徳を持つ稲荷社として地域の信仰を集めてきた。江戸時代には、現在の戸山公園一帯が尾張徳川家の下屋敷「戸山荘」として整備され、当社はその広大な敷地内に取り込まれた形で存続したとされる。戸山荘は18世紀を通じて大名庭園文化の粋を集めた一大名所として知られ、境内の霊泉はその景観の一部をなしていたと伝わる。明治維新後、戸山荘が政府に接収されると、周辺一帯は陸軍戸山学校の用地となり、社地の状況も変化を余儀なくされた。近代以降は地域の産土神として氏子の崇敬…