南蔵院は、1680年(延宝8年)頃に開創されたと伝わる真言宗の寺院である。江戸時代中期、豊島郡大塚村の地に草창されたとされ、建長寺末寺として位置づけられた。本尊は不動明王で、真言密教の修法による病気平癒・厄除けの霊場として、江戸市中の民衆から篤い信仰を集めたと伝わる。境内には江戸時代に奉納された石灯籠や絵馬が現存し、当時からの地域信仰の深さを物語る。明治維新以降の近代化の過程においても廃仏毀釈の影響を受けながら法灯を継続し、大正・昭和期には周辺の急速な市街地化が進む中にあっても、地域住民の宗教的拠り所として境内を守り続けてきたとされる。現在も豊島区北大塚の住宅街に静かに佇み、江戸以来の信仰の歴…