板橋区向原に鎮座する稲荷神社で、主祭神は宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)。創建年代は不詳だが、江戸時代初期には既に存在が確認され、旧豊島郡向原村の鎮守として農民の信仰を集めてきた古社。「向原」の地名は中世の土地区画に由来するとされ、石神井川の支流沿いの台地に広がる農村として発展した。江戸期の穀倉地帯にふさわしく、五穀豊穣・商売繁盛の守護神である稲荷神が祀られ、境内には江戸中期〜後期の石造狛狐・庚申塔・石灯籠などが残り、武蔵野の稲荷信仰の素朴な姿を今に伝える。東京メトロ小竹向原駅の駅名は「小竹町」と「向原」の合成地名で、神社はまさにその「向原」の地名の由来となった地域の鎮守である。毎年9月の例祭では地域住民が集い、古き農村祭礼の風情を継承している。