佐紀陵山古墳は奈良市西部、佐紀盾列古墳群の中心に位置する前方後円墳で、全長207メートルの堂々たる規模を誇る。宮内庁によって第11代垂仁天皇の皇后・日葉酢媛命の陵墓として管理されており、「狭城盾列池上陵」の正式名称を持つ。5世紀初頭ごろに築造されたとみられ、周囲には広大な周濠が設けられている。日本書紀には日葉酢媛の葬儀に際して殉死の習慣を廃し、代わりに埴輪を用いることを提案した逸話が記されており、埴輪文化の象徴的存在とも位置づけられる。奈良時代以前の大和政権の最高権力者に連なる陵墓群の一翼を担い、周辺にはウワナベ古墳やコナベ古墳など同規模の巨大古墳が連なる。静寂に包まれた周濠沿いの遊歩道は市民の憩いの場にもなっており、歴史と自然が調和した空間を形成している。