長命寺は慶長年間(1596〜1615年)に創建された天台宗の寺院である。開創の詳細な経緯は明らかではないが、江戸時代初期に現在の墨田区向島の隅田川沿いに建立されたと伝わる。寺名の由来として、三代将軍徳川家光が鷹狩りの途次に腹痛を起こし、この寺の井戸水を服して快癒したことから「長命寺」と命名したとされる。以後、徳川幕府の庇護を受けた寺院として向島地域における信仰の拠点となった。享保2年(1717年)には寺門前に桜もちを販売する老舗が創業し、門前文化が根付いた。江戸後期には隅田川沿いの景勝地として文人や庶民の往来が盛んとなり、墨堤の桜並木とともに花見の名所として広く知られるようになった。明治維新後…