神奈川県藤沢市藤沢の本町公園(白旗交差点近く・交番脇の小道を入った場所)に残る、源義経の首を里人が洗い清めたと伝わる古井戸。文治5年(1189年)、奥州平泉・衣川館で31歳の若さで自害した義経の首は、奥州から新田冠者高平によって鎌倉へ送られ、同年6月13日に腰越の浦で和田義盛・梶原景時による首実検の後、無残にも浜に捨てられたとされる(『吾妻鏡』)。しかし民間伝承では、潮に乗って境川を遡り、藤沢の地に漂着した義経の首を、里人が哀れんでこの井戸で洗い清め、手厚く弔ったと語られてきた。この伝承が白旗神社への義経合祀(宝治3年・1249年)の由来であり、井戸は「首洗井戸」として今も本町公園の一角に大切に保存されている。悲劇の英雄・義経への民衆の敬愛の心情を今に伝える、日本各地に点在する「義経伝説」の中でも最も悲哀に満ちた伝承地の一つ。白旗神社・弁慶塚と合わせて巡れば、藤沢宿に集積する義経ゆかりの史…