永観堂(禅林寺)は、貞観5年(863年)に真紹僧都が創建した浄土宗西山禅林寺派の総本山である。平安時代から鎌倉時代にかけて隆盛し、永観律師が念仏修行の道場として整備したことから「永観堂」の通称が定着した。境内は幾度かの兵火や災害により堂宇の焼失と再建を繰り返してきたとされる。近世には浄土宗寺院として法灯を守り続け、江戸時代に現在の伽藍の骨格が整えられた。現存する多宝塔は昭和3年(1928年)に建立されたもので、境内の最高地点に位置する二重塔である。多宝塔は上層が円形、下層が方形という伝統的な日本建築の形式を踏まえており、近代に再整備された境内景観の要として今日に至る。秋には約3000本の楓に囲…