**帝釈天(たいしゃくてん)**は古代インドのインドラ神が仏教化した存在だ。もとは雷と嵐の神で、ヴェーダ聖典では神々の王として崇められた。仏教では「三十三天の主」として釈迦を守護し、象に乗り、金剛杵(こんごうしょ)を持つ姿で表される。
**梵天(ぼんてん)**はヒンドゥー教の創造神ブラフマーが仏教化したものだ。釈迦が悟りを開いた後「法を説いてほしい」と懇願した神として有名。白い蓮華の上に立ち、穏やかな表情を持つ。帝釈天と梵天は対となって釈迦の両脇に侍ることが多く、「梵釈二天」と呼ばれる。
興福寺(奈良)の国宝・八部衆像には、天部の多様な姿を直接見ることができる。奈良時代の傑作で、阿修羅像とともに仏教美術の精華を体感できる。
**弁財天(べんざいてん)**はインドの水の女神サラスヴァティーが仏教化した存在だ。音楽・弁舌・知恵・財福をつかさどり、七福神のひとりとしても広く知られている。琵琶を持つ姿が特徴的で、水辺の寺社や島に多く祀られている——江ノ島・宮島・竹生島の「日本三大弁財天」は全国から参拝者を集める。
吉祥天(きっしょうてん)はインドの美の女神ラクシュミーが仏教に取り込まれた存在で、「幸福・美・豊穣」をもたらす女神として信仰された。薬師寺(奈良)所蔵の吉祥天像(国宝・8世紀)は日本における女性像彫刻の最高峰のひとつだ。
大黒天(だいこくてん)はインドのシヴァ神の化身マハーカーラが仏教化したものだ。「大黒(マハーカーラ)」とは「偉大な暗黒」を意味し、もとは破壊と戦争の神だった。日本に伝わるとその性格が変容し、大きな袋を担ぎ打ち出の小槌を持つ福の神「大黒様」として親しまれるようになった。七福神の一員として出雲大社の大国主神(おおくにぬしのかみ)と習合し、独自の信仰を形成している。