毘沙門堂の前身は、大宝3年(703年)に僧・行基が平安京の北東(出雲路)に創建した出雲寺とされる。平安時代には本尊の毘沙門天像が造立されたと伝わり、国土守護の霊場として信仰を集めた。しかし中世を通じて度重なる兵火や変遷を経て衰退し、往時の姿は失われた。江戸時代初期、天海の弟子である公海大僧正が幕府の支援を得て寺を再興し、寛文5年(1665年)頃に現在の山科・安朱の地へ移転した。その後、後西天皇の皇子・公弁法親王が入寺したことにより門跡寺院の格式を得た。以降、皇族・公家が住職を務める天台宗の門跡寺院として栄え、天台宗京都五門跡の一つに数えられる。宸殿・霊殿などの伽藍は江戸期に整備され、宸殿の障壁…