岩屋寺は延暦元年(782年)、伝教大師最澄の開創に関わるとも伝わる天台宗の寺院として創建されたとされる。中世以降の詳細な沿革は不明な部分も多いが、山科の丘陵地に位置する古刹として信仰を集めてきた。近世に入り、曹洞宗の尼寺として再興され、現在に至る宗派の基盤が整えられた。江戸時代中期、元禄15年(1702年)12月の赤穂浪士による吉良邸討ち入りに先立ち、四十七士の筆頭・大石内蔵助良雄が山科に隠棲していた時期、当寺に深く帰依したと伝わる。境内にはその遺品や書状が保存されており、義士ゆかりの寺として広く知られるようになった。明治以降も尼寺としての法灯を守り続け、現在は本尊・不動明王を祀る静かな寺院と…