実相院は、天正6年(1578年)頃、天台宗寺門派の門跡寺院として創建されたと伝わる。もとは洛中に置かれていたとされるが、戦国期の兵乱を経て、岩倉の現在地に移転したと伝わる。門跡寺院として皇族・公家の子弟が歴代の住持を務め、寺格の高さを保ってきた。近世初期には狩野派の絵師による障壁画が制作され、当時の高い文化的水準を今日に伝えている。江戸時代には書院が整備され、磨き上げられた廊下の床板に庭の景色が映り込む「床もみじ」「床桜」として知られる景観が形成された。幕末期、岩倉の地は公家・岩倉具視が謹慎を命じられた地として歴史に刻まれ、実相院周辺もその歴史的文脈と深く結びついている。明治以降も天台宗寺門派…