蔵鷺庵は大阪市天王寺区上之宮町に位置する曹洞宗の寺院である。「庵(いおり)」の名称が示すように、もともとは隠遁的な小道場として開かれた可能性が高い。曹洞宗は1227年(安貞元年)に道元禅師(1200〜1253)が中国・宋から帰国して開き、福井・永平寺を大本山とする。大阪では戦国期以降、各宗派の寺院が復興・創建を繰り返し、上之宮町一帯も四天王寺の周辺域として宗教的な環境を保ってきた。「蔵鷺」という名は蔵の傍らに鷺が宿るという風情を表し、静寂な禅の修行環境を象徴している。近世・近代を通じて地域の禅道場として機能してきた。