三井寺観音堂(みいでらかんのんどう)は滋賀県大津市園城寺町に位置する天台寺門宗総本山・園城寺(三井寺)の観音堂で、西国三十三所第14番札所として千年以上にわたり巡礼者を迎えてきた。本尊は如意輪観世音菩薩。観音堂は三井寺の境内最高所、琵琶湖を望む南院伽藍の中心に建つ。神仏霊場巡拝の道第119番。現在の堂宇は元禄2年(1689年)に再建されたもので、向拝(ごはい)が長く張り出した特異な建築様式が特徴。境内には観月舞台・大津市街と琵琶湖を一望する展望所も併設され、桜の名所としても全国的に有名である。三井寺本体(第115番)と一体的に巡拝される伝統があるが、神仏霊場巡拝の道では番号を分けて第119番として独立した札所に位置づけている。
三井寺観音堂の起源は、平安時代後期に三井寺の南院伽藍として整備された観音堂群にさかのぼる。三井寺自体は天智・天武・持統三天皇の御産湯に用いられた霊水(三井の霊泉)に由来する古刹で、円珍(智証大師、814-891年)が中興して以後、天台寺門宗の総本山となった。観音信仰の隆盛とともに観音堂も発展し、平安時代末期に花山法皇が西国三十三所巡礼を再興した際、第14番札所として位置づけられた。中世から近世にかけて幾度も戦火・火災に見舞われ、特に元亀2年(1571年)の織田信長による比叡山焼き討ちの余波や戦国期の混乱で堂宇が焼失したと伝わる。現在の観音堂は元禄2年(1689年)の再建で、向拝が長く張り出した…