野仏庵は1912年(明治45年)頃、京都の実業家によって一乗寺の山麓に隠居所として営まれたのが始まりとされる。大正時代に一般へ公開され、風雅な茶席として知られるようになった。境内には三つの茶室が設けられ、石仏・石塔が点在する庭園が整えられた。表門は藪内家ゆかりの茶室門を移築したものとされ、中門は江戸時代の国文学者・上田秋成にゆかりの門と伝わる。詩仙堂のすぐ手前という立地でありながら、長らく知る人ぞ知る隠れた名所として静かに親しまれてきた。近代以降も茶の湯の精神を守りながら維持・管理され、拝観者には抹茶が振る舞われる慣わしが続いている。紅葉や新緑の美しさは一乗寺随一とも評され、現在も往時の風情を…