嵯峨鳥居本は、京都市右京区嵯峨野の最奥部に位置する歴史的集落で、愛宕神社への参詣道の入口付近に形成された門前町を起源とする。愛宕神社は火除けの神として古くから広く信仰を集め、平安時代より参詣者が行き交う道として嵯峨野の山麓道が整備されたとされる。一帯はまた、平安時代から「化野(あだしの)」と呼ばれる葬送の地であり、行き倒れた人々の遺骸が野に放置されてきた霊的な場所として知られ、弘法大師空海や法然上人が無縁仏を弔ったと伝わる。中世以降、愛宕参詣の往来が盛んになるにつれ、街道沿いには旅籠や茶屋が軒を連ねるようになり、近世江戸時代には門前町としての景観がほぼ現在の形に整ったとされる。茅葺きと瓦葺きが…