西岸寺は文明5年(1473年)に蓮誉(れんよ)上人が開創した浄土宗の寺院で、もとは「了賢寺(りょうけんじ)」と称した。伏見の下油掛町(しもあぶらかけちょう)に位置し、「油懸地蔵」の通称で知られる石地蔵を本尊として信仰を集めてきた。
油懸地蔵の伝説として広く語られるのは、桃山時代(16世紀末)の話である。伏見で油を商う増田太郎右衛門なる人物が荷車(または油の桶)を引いていたところ、誤ってごま油(または菜種油)を路傍の地蔵にかけてしまった。驚いた商人が手を合わせて謝ったところ、「気にするな」とでも言うように地蔵が頷き、その後商人の商売は大繁盛した。これを聞いた伏見の商人や庶民が「油を供えれば商売…