天授庵は暦応2年(1339年)、光厳天皇の勅許を得て虎関師錬が南禅寺開山・大明国師(無関普門)を祀るために創建した南禅寺の塔頭寺院である。南禅寺は正応4年(1291年)に亀山法皇が無関普門を開山として創建した禅宗寺院で、天授庵はその開山を追善するために設けられた。中世には南禅寺とともに五山の頭上に位置する禅の道場として栄えたとされるが、応仁の乱(1467〜1477年)の兵火で一時衰退した。その後再興されてからは、南禅寺境内の塔頭として江戸時代を通じて存続した。方丈前庭の枯山水と書院南庭の池泉回遊式庭園という二種の庭を持つ構成は、禅刹の枯淡の精神と雅な回遊の美の対比として高く評価されてきた。近代…