随心院は正暦2年(991年)、真言宗の僧・仁海(にんがい)によって開基された。仁海は雨乞いの験力で知られた高僧であり、当初は牛皮山曼荼羅寺の一坊として創建されたと伝わる。平安時代、この地は歌人・小野小町ゆかりの地とされ、化粧井戸や文塚など小町の伝説を伝える遺跡が境内に残る。鎌倉時代には第5世・忍空によって寺域が整備・拡張され、寺観が整えられた。室町時代以降、たびたびの戦乱や火災により堂宇が被害を受けたとされるが、真言密教の道場としての法灯は継承された。江戸時代初期の寛永年間(1624〜1644年)には本堂・表書院・能の間などが建立・整備され、現存する主要建造物の多くはこの時期に遡る。明治時代の…