一言寺は天永3年(1112年)、醍醐寺座主・聖賢によって金剛王院として開創されたと伝わる。真言宗醍醐派に属し、醍醐三流の一つに数えられた由緒ある寺院として、真言密教の法流を伝える重要な役割を担ってきた。本堂に安置される千手観音像は平安時代後期の作と伝わり、創建当初からの信仰の中心をなしてきたとされる。中世以降、「一つの願い事を心を込めて祈れば必ず叶える」という一言観音信仰が広まり、金剛王院の正式名よりも「一言寺」の通称で広く親しまれるようになった。近世には醍醐寺の末寺として寺院の維持が図られたとみられるが、詳細な変遷については不明な点も多い。近代以降は醍醐山南麓の静かな住宅地に境内を保ち、観光…