下関市に鎮座する赤間神宮は、壇ノ浦で崩御した第八十一代・安徳天皇を祭神とする神社である。創建は建久三年(1192年)とも言われ、源頼朝が安徳天皇の御陵を整備したことに始まるとされる。
現在の社殿は朱塗りの竜宮造りで、海に向かって建つ「水天門」の姿が象徴的である。竜宮城を模した社殿様式は、安徳天皇が「海の底の都に往かれた」という『平家物語』の記述と対応する。
境内には「七盛塚」と呼ばれる平家一門の武将たちの墓が並ぶ。知盛・教経・清宗ら平家の名だたる武将の霊を慰める塚であり、毎年4月23日〜24日には「先帝祭」が行われ、平安絵巻さながらの行列が再現される。
また境内の一角には耳なし芳一の「芳一堂」がある。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が『怪談』に収めたこの話は、平家の亡霊が芳一という盲目の琵琶法師のもとに現れ、壇ノ浦の合戦を語らせるというものである。フィクションではあるが、平家の亡霊が関門に漂うという地域的な記憶を色濃く反映している。