大悲閣千光寺は、慶長年間(1596〜1615年)に豪商・角倉了以によって創建された黄檗宗の寺院である。了以は私財を投じて大堰川(保津川)の開削工事を推進したが、その難工事で命を落とした多くの労働者の菩提を弔うため、嵐山の断崖上にこの寺を建立したと伝わる。境内には了以自身が刻んだとされる自刻像が安置されており、その偉業と供養の思いを現代に伝えている。江戸時代を通じて寺は静かに法灯を守り続けたが、規模の大きな寺院ではなく、山中の小刹として推移した。明治以降も大きな変遷は記録されていないが、近代に入り保津川下りや嵐山観光の隆盛とともに、眺望の名所として次第に知られるようになった。現在は嵐山の喧騒から…