霊鑑寺は承応3年(1654年)、後水尾天皇が皇女・多利宮(浄法身院宮)を開基として創建した臨済宗南禅寺派の尼門跡寺院である。山号を円成山と称し、本尊は如意輪観音を祀る。創建当初より皇室ゆかりの格式を持ち、「谷の御所」と呼ばれて歴代の皇女が住職を務める伝統が続いた。後水尾天皇が椿を愛好されたことから、創建期より境内に多くの椿が植えられ、なかでも「日光椿」は樹齢数百年と伝わる古木で、後に京都市指定天然記念物に指定された。江戸時代を通じて皇室との深い結びつきを保ち、御所人形をはじめとする約200点の皇室ゆかりの寺宝が代々伝えられてきた。明治以降、社会変動の中にあっても尼門跡寺院としての格式は維持され…