承保元年(1074年)、源算上人が西山の山腹に草庵を結び、「北尾往生院」と号したのが三鈷寺の起源とされる。源算上人は浄土教の念仏修行を重んじ、京都盆地を一望するこの地を「日想観」の修行道場として開いたと伝わる。平安末期から鎌倉初期にかけて、西山浄土宗の祖とされる善慧房証空(1177〜1247年)が当寺に入寺し、念仏思想を深めた。証空の活動により、三鈷寺は浄土教史上の重要な拠点として位置づけられるようになった。寺名の「三鈷」は、弘法大師空海が唐より帰国の際に投じた三鈷杵がこの地に落ちたとの伝説に由来するとされる。中世以降は善峯寺への参道沿いの小寺として存続し、近世には西山宗(浄土宗系)の寺院とし…