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英勝寺——鎌倉唯一の尼寺を訪ねる参拝ガイド
鎌倉・扇ヶ谷に佇む英勝寺は、徳川家康の側室・英勝院が太田道灌の屋敷跡に創建した鎌倉唯一の尼寺。江戸初期の仏殿・山門・鐘楼・祠堂が重要文化財として現存し、竹林とシャガの花が美しい静寂の名刹です。
目次
MOKUJI
英勝寺の歴史——太田道灌から徳川家康へ
重要文化財の伽藍——江戸初期建築が残る奇跡
境内の見どころ——竹林・シャガ・静寂の空間
扇ヶ谷の寺社めぐり——英勝寺を起点とした半日コース
まとめ——英勝寺参拝のポイントと周辺スポット
よくある質問
家康の側室・英勝院が創建した鎌倉唯一の尼寺・英勝寺の境内
英勝寺は、鎌倉市扇ヶ谷に佇む「鎌倉唯一の尼寺」です。徳川家康の側室・英勝院が江戸初期に創建し、以来約400年にわたって水戸徳川家の女性が住持を務めてきました。江戸期の伽藍が重要文化財としてまとまって現存する点で鎌倉随一の近世建築群であり、竹林とシャガの花が訪れる人を静かに迎えてくれます。
英勝寺の歴史——太田道灌から徳川家康へ
太田道灌の屋敷跡に建てられた尼寺
英勝寺が立つ扇ヶ谷の地は、室町時代の名武将・太田道灌の屋敷跡と伝わります。「江戸城を築いた名将」として知られる太田道灌は鎌倉とも深いゆかりがあり、その縁がこの地の選定に大きく影響しました。
英勝院(お勝の方)は太田道灌の五世の孫とされる女性で、徳川家康に仕えた側室です。家康の没後、出家して英勝院を名乗り、寛永13年(1636年)、先祖・道灌ゆかりのこの地に浄土宗の尼寺として英勝寺を開創しました。徳川家康の意志を受け継いだ形での創建であり、英勝院の強い意志と財力が伽藍整備を支えました。
水戸様の尼寺として400年
創建以来、住持は代々水戸徳川家の女性から迎えられてきたため、地元では「水戸様の尼寺」と親しまれてきました。明治維新後に水戸徳川家との縁が途絶えましたが、現在も浄土宗の尼寺として法灯を守り続けています。
俳人・高浜虚子は鎌倉に長く居を構え、英勝寺にもたびたび足を運びました。「木々の芽や寺復興の尼悲願」の句はその折に詠まれたと伝わり、明治期に他所へ移された山門を元の場所に取り戻そうとする尼僧たちの悲願を詠んだものです。
英勝寺の重要文化財・伽藍。江戸初期の建築が鎌倉に現存する
重要文化財の伽藍——江戸初期建築が残る奇跡
仏殿・山門・鐘楼・祠堂(唐門)の4棟
鎌倉では鎌倉時代・室町時代の禅宗建築が有名ですが、江戸初期の近世建築がまとまって残る寺院は英勝寺をおいてほかにありません。以下の4棟はいずれも国の重要文化財に指定されています。
建造物
特徴
仏殿
本尊・阿弥陀三尊を安置。江戸初期の浄土宗様式
山門
明治期に他所へ移築。現在は元の地への再建事業が進む
鐘楼
境内奥に立つ静謐な建物
祠堂(唐門)
英勝院の霊牌を祀る。装飾細部に桃山の影響
本尊は阿弥陀三尊(阿弥陀如来・観音菩薩・勢至菩薩)。浄土宗寺院らしく、極楽往生への祈りを中心に据えた伽藍配置が特徴です。
まとまった近世建築群としての価値
鎌倉の国宝・重要文化財の多くは中世の禅宗建築ですが、英勝寺は江戸時代初期に一気に整備された寺院建築群が奇跡的に完存している点で稀有な存在です。木組みの細部に桃山から江戸へ移行する過渡期の美意識が刻まれており、建築史的にも見応えがあります。
英勝寺(鎌倉・扇ヶ谷)の境内の様子
境内の見どころ——竹林・シャガ・静寂の空間
竹林——「竹の寺」と呼ばれる所以
英勝寺は「竹の寺」とも呼ばれ、境内後背の斜面一帯に竹林が広がります。光が差し込む竹林の中を歩くと、鎌倉の街なかとは切り離された別世界のような静けさに包まれます。北鎌倉の報国寺(竹の庭)に比べると観光客が少なく、落ち着いて散策できる穴場です。
シャガの花と四季の表情
春先には境内の斜面一帯にシャガ(射干・著莪)の白い花が咲き乱れます。アヤメ科の多年草で、淡い白紫の花びらが竹林の緑と相まって幽玄な景色をつくります。シャガは4月中旬から5月上旬が見頃。初夏には青葉、秋には紅葉と、四季折々に異なる表情を見せてくれます。
英勝寺の竹林。「竹の寺」とも呼ばれる静寂の空間
扇ヶ谷の寺社めぐり——英勝寺を起点とした半日コース
寿福寺・浄光明寺との組み合わせ
英勝寺のある扇ヶ谷エリアは、徒歩圏内に名刹が集中しています。JR鎌倉駅を起点に以下の順で歩くと、半日で扇ヶ谷の歴史を堪能できます。
寿福寺——北条政子・源実朝の墓が残る鎌倉五山第3位の禅刹。英勝寺から徒歩5分
浄光明寺——扇ヶ谷に佇む真言宗の寺。収蔵庫の阿弥陀三尊坐像が名高い
英勝寺——竹林と重要文化財の伽藍。静寂の中で江戸建築を鑑賞
海蔵寺・鶴岡八幡宮との連携
扇ヶ谷の北端にある海蔵寺は「花の寺」として名高く、四季を通じて多彩な草花が境内を彩ります。英勝寺と同じ谷戸(やと)の静かな雰囲気が続き、通して歩くと鎌倉の自然と歴史を同時に体感できます。さらに鎌倉駅方向に戻れば鶴岡八幡宮へのアクセスも便利で、源頼朝以来の武家信仰の中心地と英勝院の江戸的信仰とを対比させながら巡ることができます。
英勝寺を参拝して。鎌倉・扇ヶ谷の静かな尼寺の記憶
まとめ——英勝寺参拝のポイントと周辺スポット
参拝時のポイント
拝観料・時間は事前確認が必須。月曜休観など休日が設定されている場合があるため、公式情報や電話で確認してから訪問する
JR鎌倉駅西口から徒歩約12分。扇ヶ谷の住宅街を抜ける道のりで、迷いやすいため地図アプリを活用する
竹林は境内奥に広がるため、仏殿参拝後にそのまま奥に進む
シャガの見頃(4月中旬〜5月上旬)に合わせると花と竹林の競演が楽しめる
伽藍の彫刻細部を眺める余裕を持ち、写真撮影可否は入口で確認する
ゆかりのスポット一覧
英勝寺 — 鎌倉唯一の尼寺。竹林と江戸初期の重要文化財伽藍
寿福寺 — 北条政子・源実朝の墓所。英勝寺から最も近い名刹
海蔵寺 — 「花の寺」として知られる扇ヶ谷の古刹
浄光明寺 — 扇ヶ谷に佇む真言宗の寺院
鶴岡八幡宮 — 鎌倉の総鎮守。英勝寺から徒歩圏内
よくある質問
英勝寺は鎌倉のどこにある?
英勝寺は鎌倉市扇ヶ谷1-16-3に位置し、JR鎌倉駅西口から徒歩約12分です。住宅街を抜けた谷戸の奥に山門が現れます。同じ扇ヶ谷エリアの寿福寺・浄光明寺・海蔵寺とまとめて半日コースで歩くのがおすすめです。
拝観料・拝観時間は?
拝観料と開門時間は変動することがあるため、訪問前に公式サイトや電話で最新情報を確認してください。月曜休観など定休日が設けられている場合もあります。
なぜ「水戸様の尼寺」と呼ばれる?
英勝寺を創建した英勝院が徳川家康の側室であったことから、創建後は水戸徳川家の女性が代々住持を務めました。水戸徳川家との深い縁から地元で「水戸様の尼寺」と呼ばれるようになりました。明治維新後にその縁は途絶えましたが、名称は今も親しまれています。
竹林やシャガの見頃はいつ?
シャガ(射干)の見頃は4月中旬から5月上旬です。竹林は一年を通じて楽しめますが、新緑が出そろう4〜5月と、光が差し込む冬枯れの時期がとくに美しいとされています。境内は四季折々に表情が変わるため、季節を変えて何度か訪れる価値があります。
最終更新: 2026年6月4日
── 了 ──
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